北信五岳
長野市の行政書士

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行政書士から最近の情報をわかりやすく解説します。

エコアクション21

「エコアクション21」とは
エコアクション21は、中小企業向けの環境マネジメントシステムとして環境省が策定したものです。パリ協定等を踏まえて、中小企業者でも無理なく、環境経営の取組と本業との統合を図ることを目的としています。

エコアクション21では、取り組みを効果的にかつ効率的に実施することができるようガイドラインを策定しています。最新版は2017年に改訂されています。この「エコアクション21ガイドライン2017版」は、事業者の環境への取り組みと経営との融合を促進し、環境経営の有効性を一層高めることができるように改訂されています。

エコアクション21の取り組みは、PDCAサイクルを使って管理する仕組みになっています。
計画の策定(Plan)→
計画の実施(Do)→
取組状況の確認及び評価(Check)→
全体の評価と見直し(Act)
この4段階のサイクルを、エコアクション21の14ある要求事項に沿って自主的に振り返りを行いながら事業活動を行うことがこのシステムのおおまかな流れになります。

エコアクション21と経営

エコアクション21を取得認証するには、費用がかかります。
そこで、エコアクション21を取得することで、経営面に与える影響を考えてみましょう。

企業の経営において、環境に配慮した取り組みを行うことは、世界的にみて重要視されており、総論としては賛成と答える経営者の方は多いと思います。
ところが、いざ、自社が取り組みを行うかという際には、費用、手間がかかるだけで、経営にプラスになる影響が少ないのではないかと考える経営者の方も多いと思います。
そこで、企業自らが率先して環境に配慮した経営を行うことは、何か意味のある事なのでしょうか。

エコアクション21を取り組むということで、「経営力を向上させ、社内組織を活性化することができる」というメリットがあると、環境省から説明があります。
「環境」への取組を切り口に、経営における「課題とチャンス」を明確にすることができ、今までにない判断基準を持って、経営判断をすることが可能となります。
そこから、有効な合理化の手段を見つけることが可能なのです。

組織で環境への取り組みを浸透することで、企業として社会に貢献しているというモティベーションを企業全体で醸成することも可能です。
従業員研修や従業員間の役割分担を明確にしながら、全体が取り組むことで、従業員間の交流が生まれ、経営者と従業員の相互理解も進み、組織が活性化します。
会社の事業を行いながら、環境への貢献ができるということは、やりがいに結びつくケースが多いのではないかと思われます。

エコアクション21が求める要求事項には、省エネが必ず含まれます。
これを経営のシステムとして構築することで、燃料消費量の減少や、製品の歩留りの向上の取り組みをPDCAサイクルにより管理していきますので、経費削減・生産性の向上につながります。今までよりも効率を上げるための有効な手段となり得ます。

更に、一部の金融機関では、エコアクション21の認証を受けている事業者に対して通常より低金利の融資を行うサービスをしています。

エコアクション21の経営に与えうる影響を踏まえて、この後の環境経営システムについてもご覧いただけると幸いです。

エコアクション21の「要求事項1~14」の説明

要求事項1.取り組みの対象組織・活動の明確化

エコアクション21の特徴として、取り組みやすいの継続的改善のためのPDCAサイクルがあります。
エコアクション21のPDCAサイクルは14の取組項目「要求事項」から構成されています。
先ずは、エコアクション21を理解するためにはこの「要求事項」を理解することから始めます。

今回は、「要求事項1.取組の対象組織・活動の明確化」から説明いたします。

要求事項1.取り組みの対象組織・活動の明確化
(1)組織は、原則として全組織・全活動(事業活動及び製品・サービス)を対象としてエコアクション21に取り組み、環境経営システムを構築、運用、維持する。
(2)認証・登録にあたっては、対象組織及び活動を明確にする。

エコアクション21に取り組むに当たって、取得を目指す事業者は、どの範囲で環境への取組を実施するかを明確にすることが必要です。
エコアクション21を取り組む範囲は、全組織・全活動及び全従業員が対象とすることが原則となります。
事業活動のうち、本来、エコアクション21に入れておくべき活動を対象範囲から除外した場合は、認証・登録はできません。事業者が適切な対象範囲を設定し、明確にその範囲を示すことは、認証・登録制度全体の信頼性を高めることからも重要です。

ただし、段階的認証、サイト認証の条件にあてはまる場合には、組織の一部を対象範囲とすることができます。
なお、この場合でも環境負荷の大きな活動を除外するなどの行為は認められません。
「要求事項1」はエコアクション21の取組範囲を適切に決定することを目的としています。

<段階的認証>
 事業所や工場が複数存在するなど、規模が比較的大きな事業者については、環境負荷が比較的大きいサイトから取り組みを始め、その後、段階的に対象範囲を拡大していく認証方法です。この場合でも、活動に関しては対象とした組織における全ての活動が対象になります。また、全段階に拡大する方針と4年以内に段階的に対象範囲を拡大するスケジュールを明確にし、環境経営レポートに記載する必要があります。

<サイト認証>
サイトとして独立した敷地にある事業所、ビルのテナントの場合でも独立した場所など、サイトとして独立していればサイト単位での認証が可能です。この場合、サイトの全組織・全活動及び全従業員が対象になります。加えて、独立した環境経営システムがあり、PDCAサイクルを回すことができることが必要です。
※サイト:独立した敷地あるいは場所

要求事項2.代表者による経営における課題とチャンスの明確化

要求事項2.代表者による経営における課題とチャンスの明確化

(1)代表者は、経営における課題とチャンスを整理し、明確にする。
(2)整理と明確化にあたっては、以下の事項を考慮する。
・事業内容:事業活動の内容、顧客に提供する製品、サービスの内容など
・事業を取り巻く状況:経済状況、社会的状況、技術開発状況、政策状況、利害関係者からの要請など
・事業と環境とのかかわり:環境への貢献、環境への負荷の削減など

経営と環境への取組の方向性を一致させ、 環境経営を実現させるためには、代表者は、経営における課題とチャンスを検討し、それらを環境への取組に反映させることが必要です。

本要求事項は、代表者の考える経営における課題とチャンスを明確にし、同時にその認識を社員と共有した上で、環境経営方針(要求事項3)及び環境経営目標(要求事項6)に反映させることを目的としています。

課題とチャンスは、事業内容、事業を取り巻く状況、事業と環境とのかかわりによって変化するため、定期的に見直すとともに、必要に応じて随時見直すことが大切です。

明確にした経営における課題とチャンスのうち、比較的中長期のものは「環境経営方針」(要求事項3)に、短期のものは「環境経営目標」(要求事項6)に、それぞれ可能な範囲で反映させます。

課題とチャンスの整理と明確化
外部からのチャンスと内部にあるチャンス  ➡ 環境に関する課題とチャンス
中長期 ⇒ 環境経営方針
短期  ⇒ 環境経営目標


要求事項3.環境経営方針の策定

要求事項3.環境経営方針の策定

(1)代表者は、環境経営に関する方針「環境経営方針」を定め、誓約する。
(2)環境経営方針は、次の内容を満たすものとする。
(3)環境経営方針は、全従業員に周知する

環境経営方針を策定する際のポイントは以下になります。

・企業理念及び事業活動と整合させる
・経営における課題とチャンスを踏まえる
・環境への取組の重点分野を明確にする
・環境経営の継続的改善を誓約する
・適用される環境関連法規などの遵守を誓約する
・環境経営方針には、制定日(又は改定日)及び代表者名を記載する

事業者が自主的かつ積極的に環境経営に取り組んでいくためには、代表者が自社の環境経営に関する基本方針を示すとともに、環境経営に取り組んでいくことを社会に誓約(約束)することが必要です。
また、環境経営方針の策定に当たっては、「代表者による経営における課題とチャンスの明確化(要求事項2)」や他の要素を踏まえること、及び全従業員へ周知することが必要です。
本要求事項は、代表者自らが環境経営方針を定め、これを全関係者間で共有することにより、組織が一丸となることを目的としています。

要求事項4.環境への負荷と環境への取組状況の把握及び評価

要求事項4.環境への負荷と環境への取組状況の把握及び評価

(1)対象範囲における事業活動に伴う環境負荷を「環境への負荷の自己チェック」を基に把握し、環境に大きな影響を与えている環境負荷及びその原因となる活動を特定します。環 境負荷のうち、以下の項目を把握する。
 ・二酸化炭素排出量
 ・廃棄物排出量
 ・水使用量
 ・化学物質使用量
(2)初回登録時には、事業活動における環境の取組状況を「環境への取組の自己チェック」を基に把握する。把握項目には、自社が提供する製品・サービスなどを含む。

 環境経営方針(要求事項3)を、環境経営目標及び環境経営計画(要求事項6)に反映させるためには、その基となる環境負荷及びその原因となる活動の現状を正確に把握することが必要です。
 本要求事項は、環境への負荷と環境への取組状況を把握し、適切な環境経営目、 環境経営計画の策定、及び維持管理手順、緊急事態への対応策などに反映させることを目的としています。

<環境への負荷の自己チェック>
 環境経営システムを構築するうえで、「環境への自己チェック表」を参考に、事業活動に伴う環境負荷を把握する必要があります。その結果を踏まえて、自らの事業活動で環境に大きな影響を及ぼす原因となる活動、施設、設備、物質などを特定します。環境への負荷の自己チェック表は負荷を把握するためのツールです。
 必ず把握する項目として以下の項目があります。
 ・二酸化炭素排出量:各種エネルギーなどの使用量を把握し、二酸化炭素排出量を算定します。
 ・廃棄物排出量:循環型社会の形成に向けて廃棄物排出量の削減は重要であるとともに、生産効率や原材料の歩留り改善のためには排出量を把握することが必要です。
 ・水使用量:水資源の確保が重要であるとともに、製造業などでは水使用の合理化に取り組むことが生産性の向上にもつながることから、水使用の把握が必要です。
 ・化学物質使用量:化学物質の取扱いに起因する様々なリスクを低減するとともに、その適正管理や使用量の削減は、環境経営の重要な要素です。
 ※把握する化学物質は化管法のPRTR制度対象物質とします。

<環境への取組の自己チェック>
 エコアクション21の認証・登録を初めて受ける事業者は、「環境への取組の自己チェック表」を用いて現状を把握します。現在どのような環境への取組を行っているのかを把握したうえで、自らの環境負荷を削減するためにどのような取組を行うのかを、自己チェック表にある取組内容を参考に検討します。環境への取組の自己チェック表は、効果的かつ効率的に自社の取組を見直すためのツールです。

要求事項5.環境関連法規などの取りまとめ

要求事項5.環境関連法規などの取りまとめ
(1)事業を行うに当たって遵守しなければならない環境関連法規及びその他の環境関連の要求など、並びに遵守のための組織の取組を整理し、一覧表などに取りまとめる。
(2)環境関連法規などは常に最新のものとなるように管理する。

環境経営を適切に行い、社会からの信頼を得ていくためには、組織に適用される環境関連法規などを適切に把握し、これを遵守することが必要です。
本要求事項は、組織に適用される環境関連法規などの遵守を確実に行うとともに、遵守のための取組について整理して一覧表に取りまとめることで、環境経営目標及び環境経営計画の策定(要求事項6)へ適切に反映させることを目的としています。

環境関連法規には、国が定めた法令、都道府県・市町村などが定めた条例があり、その他の環境関連の要求などには、地域との協定、顧客からの要請、業界団体の取り決めなどがあります。
とりまとめた一覧表などは、常に最新のものとする必要があります。定期的又は随時、環境関連法規などの改正情報を入手し、内容を見直すことが求められます。

<一覧表などに取りまとめる内容>
・施設:対象となる施設、対象となる物資
・届出:設備や管理体制、責任者の届出
・許可:設置許可、実施許可
・測定:測定の方法、回数
・排出基準:排出基準の遵守のための監視測定
・記録:測定結果の記録、産業廃棄物のマニフェスト記録
・報告:環境負荷物質排出量などの行政への報告、産業廃棄物の処理委託実績報告
・保管:保管基準、産業廃棄物の保管基準
・資格:必要な法的資格者、講習の受講者
・責任:日常管理部門、行政との対応部門

要求事項6.環境経営目標及び環境経営径悪の策定

要求事項6.環境経営目標及び環境経営計画の策定
(1)要求事項2~5を踏まえて、具体的な環境経営目標及び環境計画を策定する。
(2)環境経営目標は、可能な限り数値化し、以下の事項に関する目標を設定する。
・二酸化炭素排出量の削減
・廃棄物排出量の削減
・水使用量の削減
・化学物質使用量の削減
・自らが生産・販売・提供する製品の環境性能の向上及びサービスの改善
(3)環境経営計画には、環境経営目標を達成するための具体的な手段、日程及び責任者を定める。
(4)環境経営目標及び環境経営計画は、毎年度及び要求事項2~5の大きな変更時に見直しをする。
(5)環境経営目標と環境経営計画は、関係する従業員に周知する。

環境経営を効果的かつ効率的に実践するためには、環境経営方針に基づく目標、達成に向けた計画(手段、日程、責任者)を策定することが必要です。
本要求事項は、具体的な目標と計画を策定することにより、エコアクション21の環境経営システムの実効性を担保することを目的としています。

環境経営目標及び環境経営計画は以下の内容を考慮して策定します。
・経営における課題とチャンスのうち、比較的短期に取組が必要と考えられる事項
・環境経営方針において、環境への取組の重点分野とした事項
・環境への負荷の状況から目標とすることが適切と考えられる事項
・環境への取組の状況から目標とすることが適切と考えられる事項

<環境経営目標の策定>
環境経営目標は、単年度の目標、及び単年度の目標と連動した3~5年程度を目途とした中期の目標を策定します。環境経営目標は、可能な限り数値化しますが、数値化できない場合でも可能な限り目標の達成状況の目安となる指標などを策定します。

<環境経営計画の策定>
 環境経営計画は、環境経営目標を達成するための実行計画であり、具体的な取組の内容(達成手段)、日程(スケジュール)及びそれぞれの計画の責任者と担当者を定めます。

要求事項7.実施体制の構築

要求事項7.実施体制の構築
エコアクション21を運用、維持し、環境経営を実践するために、代表者は以下の事項を実施する。
・効果的で必要十分な実施体制を構築する。
・実施体制においては、各自の役割、責任及び権限を定め、全従業員に周知する。
・エコアクション21を運用し、維持するための経営資源を用意する。

組織全体で環境経営に取り組むためには、代表者が責任を持ってリーダーシップを発揮し、 必要十分な実施体制を構築することが必要です。
本要求事項は、代表者が効果的で必要十分な実施体制を構築し、環境経営システムにおける役割、責任、権限などを明確することにより、組織的な運用を行うとともに、経営資源を準備することで、継続的な運用を図ることを目的としています。

 代表者は、組織の実態を踏まえた効果的かつ効率的にエコアクション21を運用、維持、環境への取組を実施するため、代表者をトップとする全員参加の実施体制を構築します。実施体制には、各部門の責任者及び担当者などが環境経営システムにおいて何をするのか、役割、責任及び権限を定め、全員に周知することが必要です。
 代表者は、エコアクション21の環境経営システムの運用のために必要となる経営資源(人、もの、資金、情報)を用意します。

要求事項8.教育・訓練の実施

要求事項8.教育・訓練の実施
エコアクション21の取組を適切に実行するために、以下の教育・訓練を実施する。
・全従業員を対象とした教育・訓練
・環境に関する特定の業務がある場合、その業務に関わる従業員を対象とした教育・訓練

環境経営システムを効果的に運用するためには、 全従業員がエコアクション21の取組を適切に理解し、実践することが必要です。
本要求事項は、全従業員を対象とした教育・訓練の実施により、全員参加型の取組を確実なものとするとともに、従業員の環境に関する知識向上や取組のモチベーションを高めることを目的としています。

<全従業員への教育・訓練>
 全従業員は、環境への取組を適切に実施するために、組織の環境経営方針を理解するとともに、組織が計画した環境経営目標や環境経営計画などにおける自らの役割、責任、役職などに応じた取組内容などについて十分に認識します。

<特定の業務の従事者への教育・訓練>
 特定の業務に従事する者とは、組織に適用される環境法規などに関わる業務や、事業活動の中で特に環境に大きな影響を及ぼす活動、想定される緊急事態に対応する役割がある者などのことです。特定の業務を行うために必要な資格や能力を確実に身につけることが求められます。

要求事項9.環境コミュニケーションの実施

要求事項9.環境コミュニケーションの実施

エコアクション21の取組を段階的に発展させるために、以下のコミュニケーションを実施する。
・組織内において、エコアクション21に関する内部コミュニケーションを行う
・外部からの環境に関する苦情や要望を受け付け、必要な対応と再発防止を行う
・本ガイドライン第3章に掲げる「環境経営レポート」を年次で作成し、公表する

エコアクション21の取組を段階的に発展させるためには、 組織内外の関係者と情報を共有し、双方向のコミュニケーションを図ることが必要です。
内部とのコミュニケーションでは、全従業員に対して、エコアクション21の取組内容など、環境経営を推進するに当たって重要な情報を伝達し、理解を深めます。
外部とのコミュニケーションでは、環境経営レポートに基づく情報公開により、エコアクション21を適切に運用していることを示し、社外の関係者との対話を促進します。また、 環境に関する苦情や要望などには適切に対応します。
本要求事項は、組織内外の関係者とのコミュニケーションに関する取組を行うことにより、関係者との相互理解や協働が一層促進することを目的としています。

内部コミュニケーションは、エコアクション21の環境経営システムに関する取組を効果的かつ効率的に行うための重要な手段です。従業員からの意見や提案を募集するなど、双方向にコミュニケーションできるよう配慮することが重要です。
外部コミュニケーションのうち、環境に関する苦情や要望は、今後の改善のための気づきを得られる情報として重要です。苦情や要望を受け付ける窓口・担当者を設け、苦情や要望に対応し、それを記録します。対応の結果によっては、同様の問題が起きないよう、再発防止策を講じます。
組織内外へのコミュニケーション・ツールとして、環境経営レポートの作成と公表を行うこととしています。

要求事項10.実施及び運用

要求事項10.実施及び運用

(1)環境経営方針、環境経営目標及び環境経営計画の達成、並びに環境関連法規などの遵守に必要な取組を実施する。
(2)環境経営方針、環境経営目標を達成するために、必要に応じて手順書を作成し運用する。

環境経営方針、環境経営目標及び環境経営計画の達成、並びに環境関連法規などの遵守を確実に行うためには、その取組を適切に実施するとともに、必要に応じて手順書を作成し、運用することが必要です。
本要求事項は、環境経営方針、環境経営目標及び環境経営計画の達成、並びに環境関連法規などの遵守のための取組の実行性を担保することを目的としています。

環境経営計画の実施、環境関連法規などの遵守、及びその他の環境への取組を効果的かつ効率的に行うために、必要な場合は手順書などを作成し運用します。
エコアクション21の取組を組織内に浸透させるためには、まず取組の手順を定め。次に組織内での教育及び内部コミュニケーションを通じて、その周知徹底を図ります。手順が複雑なものは必要に応じて文書化し、比較的容易なものは掲示物、連絡書、教育資料などの文書類とします。さらに容易なものは、あえて文書類にする必要がない場合もあります。

要求事項11.環境上の緊急事態への準備及び対応

要求事項11.環境上の緊急事態への準備及び対応

(1)環境上の事故及び緊急事態を想定し、その対応策を定め、可能な範囲で定期的に試行するとともに訓練を実施する。
(2)事故や緊急事態の発生後及び試行の実施後に、対応策の有効性を検証し、必要に応じて改訂する。

事故や天災などを原因とする環境への重大な影響を最小限に留めるとともに、事業の継続性を担保するためには、環境上の緊急事態への対応策を定め、その有効性を確認することが必要です。
本要求事項は、環境上の緊急事態に対応する取組を行うことにより、環境に関する危機管理能力の向上を図ることを目的としています。

事故や天災などにより、油の流出、化学物質の放出などの環境上の緊急事態が発生する可能性があります。自らの事業活動において、環境に重大な影響を及ぼすどのような事故及び緊急事態が発生するか、その可能性を想定し、環境汚染などが最小限の範囲で済むよう、あらかじめ有効な対応策を実施するとともに緊急事態発生時の対応策を定め準備します。
対応策の手順が適切であり、問題点はないかを確認するために、可能な範囲で定期的な試行を行うとともに、その対応策を社員に定着させるために訓練を行います。
緊急事態の発生後や試行の実施後、対応策が効果的であったかどうかを検証し、必要に応じて対応策を改訂します。

<試行と訓練>
試行は、事故及び緊急事態が発生した場合、策定した対応の手順が機能するか、定期的に試すことを目的としています。試行の結果、手順が有効でないならば、手順の見直しが必要です。試行は机上だけでなく、できるだけ現場で模擬的に行うことが望まれます。また、訓練は、対応策を適切、確実に実行できるようにし、組織に定着させるために行うものです。

要求事項12.文書類の作成・管理

要求事項12.文書類の作成・管理

(1)エコアクション21の取組を実施するために、以下の15種類の文書類(紙又は電子媒体)、及び組織が必要と判断した文書類を作成し、適切に管理する。
・環境経営方針
・環境の負荷の自己チェックの結果
・環境の取組の自己チェックの結果
・環境関連法規などの取りまとめ(一覧表など)
・環境経営目標
・環境経営計画
・実施体制(組織図に役割などを記したものでも可)
・外部からの苦情などの受付状況及び対応結果
・事故及び緊急事態の想定結果及びその対応策
・環境上の緊急事態の対応に関する試行及び訓練の結果
・環境経営目標の達成状況及び環境経営計画の実施状況、及びその評価結果
・環境関連法規などの遵守状況の結果
・問題点の是正処置及び予防処置の結果
・代表者による全体の取組状況の評価と見直し・指示の結果
・環境経営レポート
(2)組織が取組の際に必要と判断した手順書

エコアクション21の取組を適切に実施し、継続的に運用していくためには、環境経営システムの取組に必要な文書が作成され、取組記録が情報として保存されていることが必要です。
本要求事項は、必要な文書類を特定し、それらの適切な管理を行うことにより、 環境に関する情報管理体制の構築を目的としています。

文書類は、自らの環境経営を実践する上で必要かつ十分なものとし、文書類の作成や保管が取組を停滞させる要因とならないよう、十分留意します。文書類は必要以上に作成する必要はなく、内容を複雑にする必要もありません。エコアクション21だけのための文書類を作成するのではなく、既存の文書類をできる限り活用することが望まれます。

要求事項13.取組状況の確認・評価、並びに問題の是正および予防

要求事項13.取組状況の確認・評価、並びに問題の是正及び予防

(1)環境経営システムに関する以下の項目の確認・評価を適切な頻度で実施する。
・環境経営目標の達成状況
・環境経営計画の実施状況
・環境関連法規などの遵守状況
・重要度の高い環境負荷の状況及び取組の実施状況
(2)問題がある場合は是正処置を行い、問題の発生が予想される場合は、必要に応じて予防処置を実施する。
(3)規模が比較的大きな組織の場合は、内部監査を実施する。

環境経営の取組を発展させるためには、取組状況を定期的に点検することが必要です。
本要求事項は、取組状況の確認・評価を定期的に行うとともに、問題点がある場合は是正及び予防を行うことで、環境経営の取組の有効性の向上を図ることを目的としています。

<取組状況の確認・評価>
 取組状況を確認・評価するため、以下の項目に関する状況を適切な頻度で確認及び評価し、是正処置、予防処置を行う必要性を判断します。要求事項6で環境経営目標の設定が求められている項目については、必ず確認・評価を行います。
・環境経営目標の達成状況:年度の環境経営目標の達成を確実にするためには、目標の達成状況について、適切な頻度(月次、四半期、半期など)を定めて確認・評価を行うとともに、達成状況を判断するための目安(指標)を設定し、適切な進捗状況を確認・評価します。
・環境経営計画の実施状況:環境経営計画の取組が、定められた責任・役割に基づき、計画どおりに実施できているかを確認・評価します。
・環境関連法規などの遵守状況:日常的な環境関連法規などの遵守状況を確認・評価します。
・重要度の高い環境負荷の状況及び取組の実施状況:環境経営目標を策定しなかった組織にとって重要と考えられる環境負荷項目の状況、環境活動の実施状況について、環境への取組などが適切に実施されているか確認します。

<問題の是正及び予防>
 確認・評価の結果、問題がある場合は、問題の原因を調査・分析し、その原因を取り除き問題の再発を防止するための是正処置を実施します。また、ある部門で発生した問題の状況などを、関連する他の部門にも伝え、同種の問題が発生しないようにすることも是正処置に含まれます。
 現状では問題ないが将来的に問題が発生すると予測される場合は、問題の発生を未然に防止するための予防処置を実施します。

<内部監査>
 規模が比較的大きな組織(概ね100人以上)では、年に1回以上の内部監査の実施が必要です。内部監査では、少なくとも以下の項目を確認します。
・環境経営システムが本ガイドラインで規定する要求事項及び組織が定めたルールに適合しているか
・環境経営目標が達成されているか(あるいは達成できるか)
・環境経営計画が適切に実施され、環境への取組及び環境経営システムが継続的に改善されているか
 上記について中立的な立場から監査を行い、その結果を代表者に報告します。内部監査で問題が発見された場合は、是正処置及び予防処置を行い、記録します。

要求事項14.代表者による全体の評価と見直し・指示

要求事項14.代表者による全体の評価と見直し・指示

代表者は、定期的にエコアクション21に基づく環境経営全体の取組状況及びその効果を評価し、以下の項目を含む総括的な見直しを実施し、必要な指示を行う。
・環境経営方針
・環境経営目標及び環境経営計画
・実施体制

環境経営の取組を発展させるためには、代表者が最終的にエコアクション21の取組状況を総括するとともに、次年度以降の方向性を示すことが必要です。
本要求事項は、代表者が、取組の総括と必要な指示を行うことにより、エコアクション21の取組をより発展させることを目的としています。
 代表者は、エコアクション21全体の総括的な見直しに必要な情報を収集し、環境経営システムが有効に機能しているか、環境への取組が適切に実施されているかを経営的な視点から、定期的(少なくとも毎年1回)に評価し、見直しを行います。
 評価及び見直しに必要な情報には、環境経営目標の達成状況、環境経営計画の実施及び運用の結果、環境関連法規などの遵守状況、外部からの環境に関する苦情や要望などがあります。
 代表者は評価結果に基づき、経営上の課題とチャンスで明確にした内容を踏まえ、環境への取組や環境経営システムにおいて成果をあげ、更に発展強化させる点、環境への取組や環境経営システムにおいて改善すべき点などを抽出し、環境経営方針、環境経営目標、環境経営計画及び実施体制などの見直しを行い、必要に応じて変更に関する指示を行います。

環境経営レポートについて

 環境経営レポートは、自らの環境への取組を様々な利害関係者に伝え、信頼を得るための対話ツールです。単に環境経営レポートを作成するだけでなく、積極的に公表・活用して、事業者の環境への取組を応援する人々との協働の輪が広がることを目的としています。

1.環境経営レポートの作成
次の項目を盛り込んだ環境経営レポートを定期的(原則毎年度)作成します。

計画の策定(Plan)
(1)組織の概要(事業者名、所在地、事業の概要、事業規模など)
(2)対象範囲(認証・登録)、レポートの対象期間及び発行日
(3)環境経営方針
(4)環境経営目標
(5)環境経営計画
計画の実施(Do)
(6)環境経営計画に基づき実施した取組内容(実施体制を含む)
取組状況の確認及び評価(Check)
(7)環境経営目標及び環境経営計画の実績・取組結果とその評価(実績は二酸化炭素退出量を含む)、並びに次年度の環境経営目標及び環境経営計画
(8)環境関連法規などの遵守状況の確認及び評価の結果、並びに違反、訴訟などの有無
全体の評価と見直し(Act)
(9)代表者による全体の評価と見直し・指示

2.環境経営レポートの公表と活用
 環境経営レポートは公表します。可能な場合はインターネットのウェブサイトに掲載します。

お問い合わせ 026-217-1371