北信五岳
長野市の行政書士

長野市を中心に北信地域の農業法関連支援に関してまとめています

農地転用などをはじめとした農業法にまつわるあらゆることに対応します

の関わり合い

当事務所では、これから農業を始めようとしている方、農業経営をしている方で、農地を取得して経営規模を拡大したい方、新しく設備を取得して効率化をしたい方などのご支援を致します。

農業は、規制と支援体制が絡み合っています。例えば、農地については、農地を売る人、買う人の当事者が売買することを決めても、所有権の移転をすることができません。農地法により、農業委員会への届出・申請が必要になります。新規就農者には研修期間や経営開始時の支援があります。

このように複雑になっている規制と支援を、規制は効率よく確実に対応をし、支援については有効なものを効果的に活用し、農業経営の手伝いをするのが当事務所の役割です。

農業経営支援

関連支援

農地を取得するには?

農地を購入したい、借りたい、転用して宅地にしたい、このような場合は、農地法の規制を受けることになります。購入する前に、自治体の農業委員会に許可・届出等の申請をする必要があります。例えば、農地法3条の許可を受けずに購入した場合は、農地法第3条の違反となり、所有権移転の効力がしょうじないこととされています。また、不正な手段により、許可を受けた場合は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

農地法とは?

農地法には第3条、第4条、第5条と許可の中身が分かれています。

  • 農地法第3条 農地等の所有権の移転したい場合や、他人に貸したい場合
  • 農地法第4条 所有する農地を宅地等に転用する場合
  • 農地法第5条 農地補所有者以外の者に所有権を移転させ、更に宅地等に転用する場合

農地法の許可申請先は?

農地法の許可申請等は、対象となる農地がある市町村の農業委員会に申請することになります。この申請には、例えば第3条の許可の場合は、譲り渡す人と譲り受ける人が申請書に連署して市町村の農業委員会に提出することになります。

郵送での申請は受け付けていないので、直接農業委員会まで持参して申請することになります。

お忙しい方は、行政書士による代理申請も可能です。

それでは、具体的な農地法3・4・5条の許可の要件を見てみましょう。

農地法第3条許可基準

-1.許可基準 - 要件 -
  • 全部的効率利用要件…取得者等が取得農地等を含めて全ての農地等を効率的に利用して耕作すること
  • 常時従事要件…取得者等が、必要な農作業に常時従事(原則、年間150日以上)すること
  • 下限面積要件…取得者等の取得後の農地面積の合計が各市町村の設定面積以上であること
  • 地域との調和要件…取得後において、周辺の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を及ぼさないこと
-2.必要書類
  • 許可申請書
  • 登記事項証明書
  • 定款の写し
  • 株主名簿等の写し(譲り受ける者が法人の場合)
  • 権利取得者の形態により他に必要となる書類
  • 他にも必要として求められる可能性があります

農地法第4条・5条の許可基準

-1.立地基準申請に係る農地を営農条件及び周辺の市街地化の状況から見て区分し、その区分に応じて許可の可否を判断する基準農地区分
  • 第3種農地…市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地→原則許可
  • 第2種農地…市街化が見込まれる区域内にある農地や、市街地に近接する孤立小団地の農地→他の土地に立地困難な場合は許可
  • 第1種農地…集団的に存在している農地や、土地改良事業等の公共投資の対象となった農地→原則不許可(例外的に認められる場合あり)
  • 甲種農地…市街化調整区域内の農地で、集団的に存在している農地で高性能機械による営農に適した農地や、特定土地改良事業等の施行後8年以内の農地→原則不許可(例外的に認められる場合あり)
  • 農用地区域内農地…市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域に指定された区域内の農地(いわゆる青地)→原則不許可
-2.一般基準農地転用の確実性や周辺農地等への被害等を予防する措置の妥当性などを審査する基準
  • 申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
  • 周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
-3.必要書類
  • 許可申請書
  • 土地の登記事項証明書
  • 土地の公図
  • 定款若しくは法人の登記事項証明書(法人の場合)
  • 転用する土地付近の地図
  • 建設予定建物、施設等の図面
  • 土地所有者の同意文書(所有権が移転する場合)
  • 関係法令の許認可等に係る申請書の写し
  • 土地改良区の意見書
  • 取水・排水に係る水利権者等関係権利者の同意書
  • 資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力等の確認できる書類
  • そのた必要となる書類

農用地区域内の農地を転用する場合は農振除外(農用地区域からの除外)の手続きが必要になります。

農振除外の手続き

農用区域内の農地を農用地以外の用地に使用する場合は、長野県であれば長野県農業振興地域整備計画野中の農用地利用計画の変更により、農用地区域からの除外を行ったうえで、農地転用の許可を受ける必要があります。これを農振除外の手続きといいます。

農用地区域は、将来にわたって農業を進行する地域として保全すべき土地を、農用地利用計画に定めたものです。よって、農振除外の手続きが必要になりますが、農振除外の申出をした案件がすべて認められるわけではありません。

農振除外が認められる要件は次の5つの要件を満たす場合に限られます。
  1. 農用地等以外に供することが必要かつ適当であって、農用地区域以外に代替すべき土地がないこと。
  2. 農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないこと。
  3. 効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用集積に支障を及ぼすおそれがないこと。
  4. 土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと。
  5. 農業生産基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること。
申出受付について

農振除外の申出受付は年3回受付しています。

  • 5月末締め
  • 9月末締め
  • 1月末締め
除外までの期間について

農振除外の申出を受けてから除外の決定通知が交付されるまでにおよそ7~8か月程度の期間がかかります。

農地を取得するには、によることも可能です。

利用権設定等促進事業等について

農地を担い手へ集め、農地を有効活用するために、市が、農業委員会や農業公社などと協力して、農地の貸借や売買を進めていく事業です。
農地の貸借や売買をするためには、借受人・貸付人等が《農用地利用集積計画書》《利用権設定等(所有権移転)申出書》を作成し、長野市(農業政策課)へ提出します。

賃貸借・使用貸借の場合のメリット
貸主
貸した農地は期限がくれば、離作料を支払うことなく必ず返ってきます。
また、利用権の再設定(更新)により継続して貸すことができます。
借主
経営規模の拡大を図ることができます。
賃借期間中は安心して耕作ができます。
利用権の再設定(更新)により継続して借りることができます。
所有権移転の場合のメリット
売主
税金の特別控除があります。
農業振興地域の農用地区域内(青地)の農地を売った場合、譲渡所得から800万円の特別控除が認められます。
買主
経営規模の拡大を図ることができます。
登記手数料が不要になります。当事者の請求により農業委員会事務局が所有権移転登記(嘱託登記)をした場合。
税金が軽減されます。不動産取得税、登録免許税の軽減処置があります。
借受人(譲受人)の要件
  1. 農用地のすべてで効率的に耕作・養畜を行うこと。
  2. 必要な農作業に常時従事すること。
    ただし、次の要件をすべて満たす場合は例外。
    ア.「農地を適正に利用していない場合に貸借を解除する」旨の条件を契約書に記載した場合。
    イ.地域内の他の農業者との適切な役割分担の下に、継続的かつ安定的に農業経営を行う場合。
  3. 貸借の場合、利用権を設定する地区の下限面積を満たすこと。
    ただし、新規就農者などが営農計画書を提出し、農業委員会の承認を受けた場合は10a以上の面積で利用権設定が可能。(初回の利用権設定期間は1年間。)
  4. 売買の場合、譲受人の下限面積が40a以上であること。
その他の注意点
  • 農業者年金受給のため経営移譲している場合、その農地を貸し付けまたは売却すると年金が支給停止となる場合があります。
  • 相続税・贈与税の納税猶予の適用を受けている農地を貸し付けた場合、適用が受けられなくなる場合があります。
  • 売買(所有権移転)を希望する場合は、事前に農業政策課への相談が必要です。

その他の農業経営者向けの

認定農業者とは

認定農業者制度は、効率的・安定的な経営体が清算を担う農業を目的として、自らの創意工夫に基づき、経営の改善を進めようとする計画を市町村等が認定し、これらの認定を受けた農業者に対して重点的に支援措置を講じようとするものです。

支援内容
  • 農業機械化補助金
  • 農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)
  • 農業者年金の保険料の支援
認定基準

市町村等による農業経営改善計画の認定を受けるための要件は次のとおりです。

  1. 計画が市町村基本構想に照らして適切なものであること
  2. 計画が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること
  3. 計画の達成される見込が確実であること
認定の手続き

認定を受けようとする農業者は、市町村等に次のような内容を記載した「農業経営改善計画書」を提出する必要があります。

  1. 経営規模の拡大に関する目標(作付面積、飼養頭数、作業受託面積)
  2. 生産方式の合理化の目標(機械・施設の導入、ほ場の連担化、新技術の導入など)
  3. 経営管理の合理化の目標(複式簿記での記帳など)
  4. 農業従事の様態等に関する改善の目標(休日制の導入など)

※標準処理期間は1ヶ月となります。

設備の設置について

営農型太陽光発電について

ソーラーシェアリングをしてみませんか

ソーラーシェアリングとは、農地に支柱等を立てて、設置した太陽光パネルを使って太陽光発電をし、農業と発電事業を同時に行うことです。 農業を営みながら農地の上部空間を有効活用することにより電気を得ることができるので、農業経営をサポートするというメリットがあります。

さらに、増加する荒廃農地の再生利用という観点でも期待されています。

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)とは、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有することです。 結果として、作物の販売収入に加え、売電による継続的な収入や発電電力の自家利用等による農業経営の更なる改善が期待できます。

  • 営農型太陽光発電このように支柱を立ててソーラーパネルを設置します
  • 営農型太陽光発電ソーラーパネルの下では農業機械を使って作業することができます
営農型太陽光発電のメリット・デメリット
メリット
太陽光発電したものを売電することによる収入を安定的に得ることができます。農家にとっては副収入を得ることで所得向上が期待できます。また、下部の農地も太陽光発電パネルを設置していない状況と比べて日陰が多くなるため、炎天下での収穫などの農作業が楽になるとか、パネル設置によって乾燥を防ぐことができるため、散水作業の頻度が減り効率が良くなったという事例もあります。
デメリット
営農型発電を行う場合、農地を農業以外の目的で使用することになるため、「一時転用許可」を取得する必要があります。この際に、農作物の成長に必要な日照量が確保される設計にすること、農業機械が稼働できるよう支柱の高さは2メートル以上、といった要件を満たさなければなりません。また、許可を受けた後も毎年農作物の収穫量などについて報告しなければならず、一定の事務的な手間が増えます。
荒廃農地の再利用の規制を緩和

2021 年に荒廃農地を利用した営農型太陽光発電の設置を増やすため、一転用許可の要件の一部を撤廃し、太陽光発電の導入を増やすために規制を見直しました。これは、政府が2050年カーボンニュートラルの目標を達成するために再生可能エネルギーの普及を目指したものです。

変更点は主に以下の2点です。
  1. 荒廃農地を再利用する場合は、おおむね8割以上の単収を確保する要件を課さず、農地が適正かつ効率的に利用されているか否かによって判断する。
  2. 一時転用期間(10年以内)が満了する際、営農に支障が生じていない限り、再許可による期間更新がなされる仕組みであることを周知する。

以上のことより、今まで以上に営農型太陽光発電の設置に向けた動きが加速し、地球環境を考えた農業の仕組みの普及が求められる時代に移行しつつあるようです。

一時転用許可の申請について

農地を転用して太陽光発電を設置することができればより簡単に設置することが可能ですが、そのためには農地を宅地等に転用する必要があり、農地転用の許可基準の中の立地基準より転用することができない土地があります。転用できない土地であっても、支柱を立ててソーラーパネルを設置するのであれば一時転用許可を取得することで太陽光発電を利用することができるようになります。

一時転用の許可を受けるための要件
  1. 転用する土地の下部の農地に営農を継続することのできるソーラーパネル設備の支柱を立てること。
  2. 支柱については簡単に撤去できる構造でかつ支柱の面積が必要最小限で適正と認められるものであること。
  3. 下部の農地で営農を継続することが確実であること。
    以下に該当しないこと
    a 営農が行われていない場合
    b 下部の農地における単収が同じ年の地域の平均的な単収と比較して8割を下回る場合(荒廃農地を再利用する場合を除く)
    c 下部の農地の全部又は一部が法第32条第1項各号のいずれかに掲げる農地に該当する場合(荒廃農地を再生利用する場合に限る)
    d 下部の農地で生産された農作物の品質に著しい劣化が生じる場合
  4. ソーラーパネルの角度や間隔が農作物の生育に適した日照量を確保されていて、支柱の高さ、間隔が農業機械等を効率的に利用することができる。支柱の高さについては、2m以上を確保すること。ただし、支柱の高さが下部の農作物の生育に影響しないことが明らかで、良好な営農条件が維持される場合は、支柱の高さが2m以下でも設置が可能となる場合がある。
  5. 発電設備が周辺の農地の効率的な利用や農業用排水施設の機能等に支障をおよぼすおそれがないこと。
    特に農用地区域内農地については以下の事項に注意すること。
    a 農用地の集団化、農作業の効率化その他土地の農業上の効率的かる総合的な利用に支障をおよぼすおそれがないこと。
    b 土地改良事業等の施行や農業経営の規模の拡大等の施策の妨げにならないこと。
  6. 営農型発電設備を撤去するに必要な資金及び信用があること。
  7. 発電設備を電力系統に連系する場合は、電気事業者との契約を締結する見込みがあること。
一転用許可申請に必要な書類

以下の書類を揃えて、農地転用の許可権者(転用許可する権限を有する都道府県知事又は市町村の長)に申請します。

  1. 営農型発電設備の設計図
  2. 下部の農地における営農計画書
  3. 営農型発電設備の設置における下部の農地における営農への影響の見込み及びその根拠となる書類
    ア 農作物の収穫量及び品質に関するデータ
    イ 専門家の意見書
    ウ 先行して取り組んでいる事例
一時転用許可の期間

営農型発電設備の設置に伴う一時転用許可の期間は、下部の農地での営農の適切な継続が見込まれるなどの条件を満たしていて、次のいずれかに当てはまる場合は「10年以内」なります。それ以外の場合については「3年以内」となります。

  1. 担い手が、自ら所有する農地又は賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利を有する農地等を利用する場合
  2. 荒廃農地を再生利用する場合
  3. 第2種農地又は第3種農地を利用する場合
一時転用許可を継続するための条件
  1. 下部の農地における営農が継続していること。
  2. 下部の農地において生産された農作物を毎年決められた報告をすること。
  3. 下部の農地で営農が適切に継続できないときは、必要な改善措置を講ずること。
  4. 営農型発電設備を改築または発電事業を廃止する場合は速やかに報告すること。
  5. 下部の農地で営農が行われない場合又は発電事業を廃止する場合には支柱を含めた発電設備を速やかに撤去して、農地として利用できる状態に回復すること。
一時転用許可期間中の報告

一時転用許可を受けたら、毎年農作物の収穫状況を報告する必要があります。

  • 下部の農地で農作物が収穫があった場合...収穫された農産物の状況
  • 下部の農地で農作物を栽培したが収穫がなかった場合...収穫が行われていない理由及び生育状況

長野市では、野立ての太陽光発電の設置に関して、長野市太陽光発電設備の設置と地域環境との調和に関する条例が令和3年4月に施行されています。

適用条件
  1. 届出対象…太陽光発電設備の出力が20kw以上
  2. 地域住民への説明会…50m以内の隣接住民等への説明会を開催すること及び、説明事項を具体的に規定
  3. 隣地住民等と事業者との協議…隣接住民等は説明会が行われた日から起算して10日を経過するまでの間に説明事項に関して意見書の提出ができるものとして、意見書の提出があった際には、事業者は当該隣接住民等と協議するよう規定します。
  4. 事前協議制度…地すべり防止区域など周辺への影響が特に懸念される区域等での事業を対象として、事前協議制度を規定

お問い合わせ 026-217-1371